谷峠は勝山市にある峠の中でも最もポピュラーな場所で、晴天の休日ともなればひっきりなしに車やバイカーが行き交う観光スポットである。恐らく、奥越では大野の158号線に次ぐ交通量だろう。自転車乗りには怖い道だ。

ということで、谷峠には県道の谷北六呂師線を利用してアクセスすることにする。
この道、地元住民の生活道路として利用されている程度らしく、交通量は極めて少ない。僅かなロックシェードもあるが、斜度もきつくない快適なコースである。

(有名な新谷トンネル)

さて、特に気にすることなく上り詰めて行くと、157号線に合流してから500メートル程で新谷トンネル(昭和47年開通)に到達する。石川県にはここから入ることになる。



(なぜか入山登記所)

次に、福井県側から見てトンネル手前の右斜面に酷く荒れた側道に入る。最初の100メートルは降りて上ったほうが無難なほど荒れている。そこを過ぎると電話ボックスのような入山記録所があるのだが、ここからは右と左に道が分かれているのでどちらかに進めばよい。なぜどちらでもよいのかというと、どちらも別の谷峠に到達できるからである。

最初に左に進んでみよう。この道は斜度も緩く、水浸しであることを除けば大した困難も無く上ることができる。1キロ程進んだところで道は鎖で塞がれてしまうが、無理矢理この先に行っても面白くない。実はこの場所に旧谷トンネルが存在する(標高770メートル)。開通は昭和24年とのこと。
確かに春日野や清水谷に較べれば古臭くない。しかし、中途半端なトンネルだ。トラック同士の行き違いは至難を極めることだろう。だからものの20年で大きなトンネルに座を譲ってしまったのだろう(という思い込み)。しかし、こんなに風化しているトンネルも珍しい。

ちょっと中に入ってみた。意外と状態は悪くない。30メートル位入ってみたら、天井で蝙蝠(こうもり)がギャーギャー喚きだしたので大慌てで逃げ出した。ヘッドライトがあれば向こうまで行ってみたかったが残念。

(フラッシュを焚いて撮影。石川県側はどうなっているのか?)


次に先程の登記所に戻り、今度は右に進んでみることにした。この道はかなりの激坂だ。でも分岐から1キロ程進んだところでちょっと平坦になる。朽ち果てた木の棒が脇に建っている辺りで、写真の谷峠の看板が落ちていた。これが本物の谷峠である(標高950メートル)。全く寂しい薄道に、ぽつねんと独り佇む真の谷峠。


(谷峠はこの辺りなのだろう)

実はこの林道、ここで終わりにするには勿体無い。なぜなら幻の峠、護摩堂峠に続く貴重な林道なのだ。


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