温見峠
福井県で最も辺境の地と言われる峠である。
実際に行ってみると峠自体は標高の割に簡単かもしれない。ただし、福井県大野市街から入っても、岐阜県大垣市街から入っても、峠に至るまでには50キロ近い距離があるので簡単な部類ではないだろう。
さて、大野市街地と田園を抜け、だらだらと長い坂を上ると、最初に出くわすのが真名川ダムである。
(真名川ダムを望む。高さは127.5mもあり道路下は断崖となっている。結構怖い)
この真名川ダムは着工が1967年、完成が1977年と実に11年も要しているほどの大きさ。よく見ると下に旧道らしき道がある。ダム完成以前は相当辛い道だっただろう。
このダムを越えれば、延々と標高400メートル前後の緩やかな舗装路が続いて、上流の雲川ダムまではストレス無く進むことができる(非常にわかりにくいが、途中に巣原峠への分岐もある)。この雲川ダムは着工が1952年と前者より25年も古く、その通り今にも崩壊しそうな趣である。
雲川ダムを越えてしばらくすると突然道が狭くなるが、それでもなお坂は緩やかで、風向きによっては平地のように快適なのだ。峠に向かってしばらく走ると、今度は温見村の旧集落に到達する。温見村は40年ほど前に廃村となってしまったのだが、少なくとも夏季に限れば人々が暮らしているようだ。大野市街から車で30分位で着くのだろうから、然程不便な場所ではないのだろう。ここは野生動物が非常に多く生息しているようで、峠付近の路上では猿や数匹のマムシ(轢死体)にも遭遇した。
この温見村は標高約700m前後。にもかかわらず峠はもう目の前だ。なるほど予想通り、集落を抜けた辺りから急峻な坂道へと変貌してゆく。
峠付近になると少し道の状態も良くなり、とどめのヘアピン数回で峠に到達する。曇りがちの天候のせいもあるのだろうが、思ったほど峠の景色はよくない。
(ちょっと殺風景な峠。8月3日当時は通行止だったのでひと気はなかった)
岐阜県内に入ると福井県とは全く違った雰囲気になる。まず道の具合です。驚くことに橋がない。川が道の上を流れているのだ。土石流なんて日常茶飯事なのでしょう。だから大雨が降る度に、ブルドーザーが道上の砂利を根こそぎ取り除くのではないだろうか?まあ、こんなところに道を造るのは大変なんですね。
こちらはとある岐阜県側の通行止めエリア内。見た感じでは分かりにくいがすごい渓谷。
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